明くる日の友 | birdeaterのB-LOG

明くる日の友

 過去は振り返れない。何もないものを見ることは出来ないからだ。
風の吹き抜けるシベリアの広大な土地に、一筋だけ、馬の足跡が刻まれている。それはきっと、辿って来た道だった。
「もう見えないね、足跡」
「そうだな。雪が降っているからな」
二人は友達だった。この星を旅する二人。片方は幼い少年で、もう一人は大人。でも、親ではない。
「ここらへんで火を焚きたいな。しょうがない、何も身を入れる場所がないんだもの」
「そうしようそうしよう。薪はぼくが準備しておくよ」
男は くいを土に打ち付け、そこに馬の首ひもを固く巻きつけた。少年の方はというと、男のバッグを馬から降ろして、中の薪を並べ始めようとしていた。
「おっと、先に傘をつけないと木が濡れちゃうだろ?」
「そっか」
大きな三脚にかぶさった傘をしっかりと立てて、その下に薪を並べた。火をつけるのはなかなか難しい。でも、ついた火は温かい。
「腹減ったな」
「ぼくも」
「何か食べるか?」
「いいや、明日に取っておこう」
男はそっか、と残念そうな顔で言った。地面は冷たい。あまり長時間座っていると、濡れてしまうので、ときどき立ち上がらなければいけなかった。雪はまだ静かに降っていた。
「早くやむといいなぁ、雪。そうしないと寝れないよね」
「この雪はしばらくやまねえよ。明日の朝までは続くはずだ」
すると、雪の積まれた地平線の下から、柔らかい金色の朝日が、僅かに縁を見せた。
「あれぇ?もう朝なんだ。あっという間だね」
「そうだな」
そのとき、空に何かが流れたような気がした。薄く細い光が見えた。尾の長い流れ星のようだった。
「どうした?やっと何か見つけたか?」
少年はその尾が空の端に消えるのを待ってから、撫でるように地面に触れた。
「うん、少しだけいいもの」
彼は、この流れ星が本当は何だったのかを知らない。もしかしたら、天使だったりして。彼はそこで思い起こすのをやめて、朝日に向き直った。両手で馬の背中によじ登り、男に手招きした。
「はやく来なよ。あっちはもっとあったかいはずだよ」
「そうだな」
男は思い切り杭を蹴飛ばし、馬に飛び乗った。傘と薪は放っておいた。傘の露が雪と交わったのと同時に、馬の足が積雪を後ろに蹴り上げた。傘はずさっと横たわった。
 二人には、まだ明日があるのだ。生きなければならない明日が。
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tag : #短編 #明くる日の友

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プロフィール

birdeater

Author:birdeater
twitter、youtubeもやってます。主に日記や、書いた小説の投稿をします。最近絵の練習もしようと思ってはいる。

年齢 高校生
身長体重 足すと200になる。ミリシタのとあるキャラとまったく同じ。
BMI 17.44
性別 男
出身地 身バレするので秘匿。田舎でも都会でもない。
誕生日 10月3日(てんびん座)
性格 難しい。学級委員とかやりたがるタイプ。
趣味 音楽、執筆、作品鑑賞
好きなもの 虫。動物以外の生物得意。
苦手なもの 料理、運動
利き手 右(楽器弾くのは左)
血液型 A型(身内にはO型が多い)
特技 おしゃべり
偏差値 全国模試だと69


好きな作品
涼宮ハルヒシリーズ(原作、アニメ)/SSSS.GRIDMAN(DYNAZENON)/アイドルマスターシリーズ(アニメ、漫画、ゲーム)/Fateシリーズ(ゲーム、アニメ)/ガンダムシリーズ(ゲーム、アニメ、プラモデル/天元突破グレンラガン/ウルトラマン/仮面ライダー/Dead by daylight/とあるシリーズ(アニメ)/結城友奈は勇者であるシリーズ(アニメ)/マジンガーZ(漫画、アニメ)/デビルマン(漫画、アニメ)/ギャグマンガ日和(アニメ、漫画)/ウマ娘(アニメ、漫画)/ゴジラシリーズ(映画、アニメ、小説)/ジョジョ(アニメ、漫画)/きんモザ(アニメ)/幼年期の終り/スマブラ/warframe

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